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【レポート】中原地区の遊び環境アンケート調査の結果

 中原小学校から95家庭、中原市民センターから71名の方にご協力いただきました。ご協力いただいた皆様、お時間とっていただきありがとうございました。また、アンケート配布・回収にご協力いただいた中原小PTAの皆様、中原小教職員の皆様、中原市民センターの皆様、ありがとうございました。今回は、

 1.子どもたちと地域の皆さんが普段利用している環境はどこだろう?

 2.身近な公園や自然環境について感じていること

について、アンケートの集計結果をお知らせします。アンケートを通して、中原地区の遊び環境の特徴や課題など、いろいろな立場からの意見が集まりました。これからの公園や遊びの環境について、考えていくきっかけになれば幸いです。


COVID-19の影響で、なかなか思うようにお会いできませんが、今後、さらに皆様と議論を続けていけたらいいな、と思っています。心配事の尽きない日々が続きますが、どうぞみなさまご自愛ください。

九州工業大学環境デザイン研究室 助教 須藤朋美


1.子どもたちと地域の皆さんが普段利用している環境はどこだろう?


中原地区にある公園等の様々な環境、子どもや大人はどのように利用しているのでしょうか。今回は、「①子どもの利用している公園や環境」については保護者の方にお子さんのよく利用する公園や環境について答えてもらい、「②地域の方の利用している公園や環境」については市民センターの方にご自身がよく利用する公園や環境について答えてもらいました。

①子どもの利用している公園や環境

表1 子どもの利用している公園や環境

 新堤公園の回答数が多く、多くの子どもたちが遊ぶ場所ということがわかりました。新堤公園はタコのすべり台がランドマークの公園です。再整備がされ、見通しが良くなったこともあり、多くの子どもたちの遊び場となっているようです。続く本村公園は、中原市民センターの横の公園です。近くに大人の目があると、安心して遊ばせられますね。中原公園・神社は神社の森とボール遊びのできるグラウンドがあり、いろいろな遊びができそうです。境川公園、仙水公園も、比較的近くにあり馴染みのある公園ではないでしょうか。  子どもたちは比較的近くの公園を、公園が提供している環境に応じて遊んでいるようです。人気の場所とそうでない場所、環境や施設どのような違いがあるのでしょうか。子どもたちは実際にどんな遊びを展開しているのでしょうか。引き続き調査していきたいですね。


②地域の方が利用している公園や環境

表2 地域の方が利用している公園や

  環境についてのアンケート結果

 中央公園、夜宮公園といった、比較的遠くにあっても、面積が広く、様々な環境を持っている公園への回答が多くなりました。アンケートの記述内容を見てみると、中央公園は、お弁当を食べたり、定期的なウォーキングやランニングのコースとして利用したり、よい景色を眺めたりして活用されています。夜宮公園では、ウォーキング、犬の散歩、ラジオ体操、自然の中を散策等で活用されています。新堤公園では、ウォーキングコースやぶら下がり器具を活用したり、花壇のお花を観賞したり、お子さんのスポーツの練習をしたり、お孫さんを遊具で遊ばせたり等で活用しています。中原公園・神社では、桜の季節のお花見や、お散歩、山笠の行事で活用されています。グラウンドの草取りや落ち葉の清掃をされている方もいらっしゃいました。境川公園では、毎朝のウォーキングやラジオ体操、犬の散歩等で活用されており、清掃が行き届いていて花がきれいとの意見がありました。また、子どもたちと一緒に公園の清掃に取り組まれている方もいらっしゃいました。九工大キャンパスは、自然や生物を感じながらの散歩や、グランドでのランニングやウォーキング等で活用されています。本村公園では、桜の季節のお花見や遊具等で活用されていて、公園のゴミ拾い、落ち葉の清掃、花壇の花植え等の公園美化活動に取り組まれている方々がいらっしゃいます。

 地域の方々は、散歩やウォーキング、ランニングといった身体を動かす目的で、広くてルートを設定できる公園や、ウォーキングコースや健康器具のある公園を活用されているようです。また、公園の環境を活用するだけでなく、ご自身が公園の環境整備や清掃活動に関わられている方もいらっしゃいました。





2.身近な公園や自然環境について感じていること

 保護者の皆様と、地域の皆様に、身近な公園や自然環境について、気に入っていることやよいと思うこと、改善したいことやこんな風になったらいいなという希望など、日ごろ利用する中で感じることをお答えいただきました。


表3 「身近な公園や自然環境について感じていること」のアンケート結果


①アクティビティ充実のための施設

 このカテゴリーは、子どもや利用者自身が遊んだり運動したりするための環境や施設についての意見です。

 全体の中でも、最も多く挙がったのはボール遊びについての意見でした。ボール遊びについては、「中原公園はグラウンドがあるのでボール遊びができてとてもいい」というように、ボール遊びができる公園があることが地域の良いところとして挙がっている反面、「ボール遊びのできる公園が少ない」「ボール遊びができる公園が増えてほしい」「サッカーやバスケをしてみたいが、学校の校庭しかできない」「私が子どもだった頃に比べて、自由に野球やサッカーができる広場が近くにないのが残念」「ボール遊びができなくて子どもたちに物足りない」等、ボール遊びができる環境が限定されていることについての意見が多くありました。一方で、「禁止となっている場所でも実際には小学生の子どもたちがボール遊びをして、小さい子には危ない、でもボール遊びできる公園は遠い」「公園の横に住んでいて、公園から野球、サッカーのボールが飛んできて建物の屋根、外壁にあたって困っている」など、ボール遊びの禁止されている場所でのボール遊びが、周囲の人に影響を与えていることもわかりました。

 このカテゴリーの次に多かったのは遊具についての意見です。「遊具は色々な種類があって楽しい」「新堤公園のたこのすべり台はいろんなところから滑れて楽しそう」「夜宮公園にあるような高さのある鉄棒は親子でトライできる」等、設置されている遊具に満足している意見が挙がった一方、「遊具の数が少ない」「遊具を増やしてほしい」「遊具が減ってきている」等、遊具の数が不足しているという意見もありました。また、「遊具があったり、なかったりするので、遊びたい内容や年齢に合わせて公園を選べるところがよいと思う。」という意見もありました。さらに、「上肢をつかったり、バランス能力が鍛えられるものを増やしてほしい」「ストレッチできるような器具が設置されていたら良い」「ありきたりな遊具ばかりなので、インパクトのあるものを置いてみてはどうか」といった、提案もありました。ほかにも、「ブランコがある公園が少なくなっている。」「昔は当たり前にあった遊具が安全面の配慮のためどんどんなくなっているのは少しさみしい」等、撤去される遊具についての意見がありました。

 他には、「砂場がもっとあったらいい」「砂場のない公園があるのが少し残念」「土あそびができる場所がない」等、砂や土であそべる環境を求める意見、「きれいな水で遊ばせたい」といった水遊びについての意見、「散歩できてよい」「ウォーキングコースがあってよい」等、運動できる環境についての意見がありました。


②快適に利用するための環境や施設

 このカテゴリーは、子どもや保護者、利用者が公園で快適に過ごすための環境や施設についての意見です。

 カテゴリーの中では、まず、「木陰が多いと癒される」「日陰がすくない」木陰が少なくなっている」「日陰があれば妊婦さんやお年寄りも過ごしやすい」等、公園に日陰や木陰を作ってほしいという意見が挙がっています。また、木陰や日陰に併せて、ベンチやイスなどの座れる場所についても、希望が挙がっていました。トイレについては、「トイレがある公園は子どもにとってはいい」「トイレを増やしてほしい」と、トイレがある公園が子どもにとって大事であることや、「利用しやすいきれいなトイレがあると嬉しい」「きれいにしてもらえるともっと利用しやすい」「トイレットペーパーを補充や電気を付けてほしい」等、清掃や設備について意見がありました。合わせて、手洗い場の整備についても意見もありました。


③清掃活動やゴミの問題

 このカテゴリーは、公園の清掃活動やゴミについての意見です。

 まず、「季節の花を植えてくれたり、雑草を抜いてくれたり、子どもたちが気持ちよく遊べるようにしてくれている方がいる。姿を見たときは、子どもからも”ありがとう”など感謝の気持ちを伝えられたらいいなと思う。」「地域の方々がゴミを拾ってくださって、本当に感謝しかありません。子どもたちもちゃんと、ゴミを持って帰っている。」「お花の植え替えや掃除をよくしていただいているので、子どもたちも利用しやすい」「花壇もまちの方がきれいに手入れしてくださり感謝です。」近所の公園ではグラウンドゴルフをしている人達は草むしりや落ち葉の清掃をされていて、きれいにされている」等、公園を日々手入れしてくれている方々への感謝の思いが挙がっていました。また、「子どもたちが自分で清掃できるイベントがあったらいいなと思う」といった提案もありました。一方、「ポイ捨てが気になる」「ベンチの下にゴミを放置する人がいる」「犬のフンをそのままにして帰る人がいる」等、マナーを守らない利用者について意見がありました。

 また、「よく整備されている」「最近の公園は管理が非常に行き届いいていると思う」「最近の公園はよく整備されていて快適」「雑木林の選定で見通しが良くなって子どもがよく遊ぶようになった」というように、公園の整備の状況に満足している意見ある一方、「雑草が多くて残念だった」「除草回数を多くしてほしい」「草抜きをしてほしい」等の意見もありました。


④安全を守るための設備

このカテゴリーは子どもたちや利用者の安全を守るための設備についての意見です。

 まず、「少し一目が少ない公園は、時々心配になることがある」「変な人がいても見つけやすいので、広くて、周りからもよく見えるのが良い」「死角がない公園が多く、安心する」「どこからも見られ、人の目が届く公園は安心」「低い木がなくなって、見通しがよくなったのはいいと思う。」等、見通しのよさや人目があることが遊び場の安全と安心に大事なことが分かります。加えて、「防犯カメラを設置してほしい」といった意見もありました。

 次に、道や交通安全について「ボール遊びをする子どもが多いので、車道への飛び出しが心配」「道路の近くにある公園は運転する側からすればボールは怖い」「公園周りの車両通行が心配」「狭い公園だと公園内でできる遊びに限界があり、道路に飛び出して遊ぶことになってしまう」等、ボール遊びや公園からはみ出して遊ぶ子どもたちの交通事故について心配する意見が挙がりました。このような問題に対して、「フェンスをもう少し高くしてはどうか」「柵を高くする等できないか」「各公園にフェンスがあれば、ボールが飛び出ず、子どもが飛び出すことがなくなるのではないか」といった提案がありました。

 他には、「時計がない公園が多いような気がする」「時計があるとよい。学校で帰宅時間(夏は6時、冬は5時)が決まっているので、その時間に音楽がなるとよい」というように、子どもたちが帰宅時間を確認できるようにすることを希望する意見がありました。また、夜間の安全のために、「外灯を増やしてほしい」という意見もありました。


⑤自然環境

 このカテゴリーは、自然環境についての意見です。

「北九州は比較的自然も多く、身近にあり、子どもたちも虫取りしたり釣りをしたりと楽しめている」「緑が多く、シーズンによっては虫を捕まえたりしている」「中原地区には公園や緑も多く、子どもたちを遊ばせるには良い環境だと思う」「桜やキンモクセイ等、季節を感じられる木々が公園に植えられているのはとてもいい」等、身近な環境の樹木や昆虫等の自然環境に満足している意見があった一方で、「虫取りできるところがすくない」「公園に自然は感じられない。桜はあるが、それだけのような気がする」「場所によるが、最低限自然を残しているというだけで、四季を感じたりするのが難しい環境に暮らしているように思う」や、「広場を作るだけでなく、もっと木や花を植え、もう少し自然な姿を見せる公園であってほしい」のように、様々な生物が生息できる環境を求める意見がありました。

 また、「桜の木があったりして、とてもきれいなところが気に入っている」「公園の桜の木が多く伐採され、春のきれいな桜の花を見ることができなくなって悲しい気持ちになった」「春は桜もきれいで季節を感じられる」等、公園等で春の桜を楽しみにしている声がありました。

 水辺の環境・生物では、「近頃の川は、護岸工事でセメントの壁で生き物が少ない、カニを見ない」「境川に川魚、メダカ、ウナギ、ホタル等が育つ川になってほしい」「池が少ないので、池を作り魚や水生昆虫が見られるようなればいいと思う」等、身近な水辺の自然再生を望む意見がありました。


⑥利用者同士の共存・使い分け

 このカテゴリーは、子どもたちどうし、または子どもと大人の間の公園の共有についての意見です。

「子どもが一輪車などの練習に使ったり、お年寄りの方、犬の散歩の方、いろいろな世代の方がよく使っている」「日40人から50人の子どもたちがそれぞれに遊んでいて、また、高齢者も朝散歩して風景を見かける」等、多世代が上手に利用している公園もある一方で、「もうすこし多世代がうまく利用できるようになればいいのに」と感じる公園もあるようです。また、「最近子どもが公園で遊んでいたら大人の方々から”子どもは遊ぶな”と言われることあった」といった記述もありました。「子どもだけの公園ではなく、すべての世代が有益に利用できる+αの機能が付いた公園が増えたらいいなと思う」「子どものために、公園を開放していきたい」等様々な立場から意見がありました。

 異年齢の子どもたちが遊ぶ様子は、「学年の違う子供も声を掛け合い遊ぶ様子は嬉しい交流」と感じられる反面、「小さい子どもの目線では大きい子たちが遊んでいる時間帯はぶつかったり、ボールが飛んできたりするために遊びづらいと感じる」「小さな子どもも遊んでいるので、ぶつかったりボールが当たったりしないか心配している」等、大きな子どもと小さな子どもが同じところで遊ぶことで、安全面の心配があることが分かりました。ほかにも、「小さな子が安全に遊べる区画があるといい」「小さな子どももいるので、遊具ゾーンとボール遊びのゾーンに仕切りがあるといい」「未満児でも遊べる遊具があるとありがたい」といった意見もありました。一方で、「いまの子どもたちは、少し学年の上の人たちと一緒に遊ぶチャンスはあるのだろうか」といった、年の違う子ども同士の交流の重要性についての意見もありました。


⑦公園の規模や数

 このカテゴリーは、公園の大きさや数についての意見です。

「中原校区には、公園が多くあると思う」「校区内に遊びにいける公園がいくつもあるので、子どもたちを安心して行かせられる」「身近に歩いていける範囲で複数の公園に恵まれ、子どもにとって良い環境だと思う」等、公園の数に満足する意見があり、「子どもが、したいことに応じて公園を選んで遊びに行っているのはいいなと思った」等、公園の数があることは、子どもたちに遊びの選択肢を提供していることがわかりました。

「広い公園では、思いっきり走れるのがいい」「広い広場があるのでいろいろな遊びができる」等、広いスペースがある公園については、満足する意見があった一方、小さい公園については、「遊べる場所が少なく、小さいため、公園でも密だな、と感じる」「小学生クラスの遊べるスペースは不足気味ではないかと思う」等の意見がありました。


⑧子どもの育ちを支える遊び場

 「ボールなど使用禁止のものや遊びの制限がある場所がおおく、自由度は低いと感じることも多くある」「遊び方の制限がある公園が多すぎる」「遊具の撤去やボール禁止ではなく、もっとおおらかなめで見てあげたい」「最近はボール禁止や動く遊具(シーソー、ブランコ、地球儀)などがなくなったりして『子供が遊び中で学ぶ』という体験やチャンスが減っていると思う」等、公園の決まりが子どもたちの遊びの幅を狭めていることについての意見がありました。また、「安全、清潔を優先しすぎの感」「ケガすることがあったとしても、それで危険なものについて体験から学んでいった面もあったように思う」「危険なものを遠ざけることばかりが子どもたちのためなのか」「私たちが小さいころは道端にグミの木や桑の実、コケモモの実などがたくさんあったので、怒られながらも木に登って友達と食べてみたりしたものですが、このご時世、そういう体験が難しくなっているのは、すこしさみしい気がします」等、今の子どもたちの遊びを通した体験や経験についての意見がありました。


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